The Story of Shinsaku Takasugi

3/35
16人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
その女との出逢いは――最悪のタイミングだった。 俺が丁度、倒幕の意思に長州一帯を固め始めた、その最中だった。 粛清されそうになり、逃げまくり。 漸くもう一度長州に戻ってきた。 勿論、命懸けで戻ってきたのには、理由があった。 藩を倒幕一色に纏める。それを成し遂げるために、俺はこの地に戻ってきた。 倒幕にするにあたって、俺は何をしたのかって? 藩の人に呼び掛けた。それだけ。 「我こそは、と思う者は集え!!」 期限を決めて、その場に集合するようこそこそと触れを出したのだ。 「高杉さん~、これ、大丈夫なんですよね……?」 「大丈夫かなんてしらん」 「はぁぁ!?あんた、自分が何者か分かってんですか!?この場所に誰かが幕府恭順側のやつを連れてきたら終わりですよ!?」 弟分の伊藤俊輔は、びくびくと怯えながら。 だけど、何時でも、俺の傍にいてくれる、そして俺を叱り、励ましてくれる――そんな男だった。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!