*先輩と花火と本当の気持ち

70/73
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/241ページ
さいわい、みんな自分たちの会話に夢中のようで、他の人の視線が痛い、というようなことはなかった。 それでも恥ずかしさは否めず、私は先輩の背に顔を伏せるように近づけた。 唐突に、先輩が言った。 「松原。途中、寄り道しよーか」 さりげない口調。 なのに、その発言の裏側があからさまに透けてみえて、私は素っ気なく答えた。 「……いかがわしい場所に行きたいのなら、他の人を誘ってください。 私はここで下りますから」
/241ページ

最初のコメントを投稿しよう!