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さいわい、みんな自分たちの会話に夢中のようで、他の人の視線が痛い、というようなことはなかった。
それでも恥ずかしさは否めず、私は先輩の背に顔を伏せるように近づけた。
唐突に、先輩が言った。
「松原。途中、寄り道しよーか」
さりげない口調。
なのに、その発言の裏側があからさまに透けてみえて、私は素っ気なく答えた。
「……いかがわしい場所に行きたいのなら、他の人を誘ってください。
私はここで下りますから」
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