篠崎さんにシールをあげる

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 篠崎さんがシールを集めているという。  コンビニでパンとかついてくる、アレ。集めると、キャラクターグッズがもらえるというものだ。  篠崎さんの会社の机、目立つところに台紙がある。シールがついている商品を買った人で、シールを集めていない人はみんなそこに貼っている。捨てちゃうぐらいなら、集めている人に渡したほうがいいから。  あのカワイイウサギのキャラクターグッズが欲しいなんて、男の人なのに、珍しいなと思った。普段クールなのに、そのギャップがカワイイ。  実は私、篠崎さんのことをちょっといいなと思っている。だから、普段行くコンビニではなく、そのシールのコンビニに最近は通っている。  なんだったら篠崎さん本人よりも、私の方が多く通っているかもしれない。 「あ、シールどうぞ」 「ありがとう」  受け取って微笑むのがカワイイ。  篠崎さんのシール台紙は無事期限内に埋まり、ウサギのキャラクターのカフェオレボールを手に入れたらしい。 「協力してくれてありがとう」  そう言って、篠崎さんはみんなにお菓子を配ってくれた。 「おかげでカノジョも喜んでた」  は? カノジョにあげる用かよ。ならそういえよ。  そんな風に思った女性社員数名と、その日は飲みに行った。  次に同じようなキャンペーンがあったとき、篠崎さんは今回はあんまり集まらないと嘆いていた。自分の力で頑張れ、どアホ。
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