壊れたビニール傘

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店長はこの傘の事を知らせる度に、「とっとと捨てろ!」と機嫌がさらに悪くなる。 そう言えば、俺が初日に入った時から壊れたビニール傘が置かれていて、一緒に働いていた小野さんが処分をしていた。 どうやら、俺が来る前からたびたびあったらしい。 だから、イタズラだとしたら、このコンビニか店長への恨みという事になる。 その小野さんも、先週体調を崩し辞めてしまったから、今度は俺が処分しなくてはならない。 俺は、壊れたビニール傘の柄を持った。 すると、突然に脳を振らされるようなめまいがして、左耳に耳鳴りがした。 一瞬の事だったが、俺は気分が悪くなり、その壊れた傘を急いで裏口の燃えないゴミ箱に放り投げた。 「一体、誰がこんな嫌がらせを……」 何となく胸騒ぎがして、今度雨が降った時には必ず犯人を突き止めようと決めた。 だが、そう決めた日から、あれだけ続いていた雨が降ってこない。 犯人を突き止めようと意気込んでいたテンションが、晴れが続くにつれ下がっていく。 まぁ、雨が降らなければ仕事も増えないし、何より店長の機嫌が良いからそれはそれでいいのだけど。 それにしても、一体いつになったら新しいアルバイトは入って来るのだろう。 募集のポスターは、今にも剥がれてしまいそうだ。     
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