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同棲開始して一月が経った。
毎日ではないが、清史郎はなるべく早い帰宅を心がけているようだ。
だがそれは裏を返せば、春海の配慮だ。
秘書の彼が、過密スケジュールをうまく調整してくれているのだと、智秋は兄に感謝した。
夕飯後が、二人の語らいの時。
肩の傷に触るからと、定番の背後からの抱っこは、しばらくの間封印中だ。
ソファに隣り合わせに座り、清史郎がそっと智秋の左肩を抱き寄せるのが、最近のいちゃいちゃスタイルだ。
「欲しいものや足りないものはないか? 何でも叶えるから言ってくれ」
智秋はもともと物欲がない。
細々したもの、例えばお菓子などは、ハウスキーピングさんが買い物に行くついでに、こっそりお願いしている。
それにきっと清史郎が言っているのは、そんなささやかなものではないのだ。
しかし無い袖は振れない。
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