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「智秋、笑わないで聞いてくれる?」
「なに?」
「智秋は、運命の番って、知ってる」
「運命の……番……? 聞いたこと、ない」
春海が「おとぎ話みたいなものなんだけどね」と前置きして、説明してくれた。
普通、アルファがオメガの性フェロモンに強く反応してヒートを起こして首筋を噛むことにより、番となる。だが運命の番とは発情期やヒートに無関係に、アルファとオメガが強く惹かれ合うことを指していた。
「へえ……ロマンチックだねえ……」
「僕の運命の番が、清史郎だったらいいなって思うんだ」
「絶対そうだよ! そうに決まってる」
「……そうかなあ……」
智秋は、春海の憂いを帯びた微笑みには気が付かなかった。
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