01 春海と智秋

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「智秋、笑わないで聞いてくれる?」 「なに?」 「智秋は、運命の番って、知ってる」 「運命の……番……? 聞いたこと、ない」  春海が「おとぎ話みたいなものなんだけどね」と前置きして、説明してくれた。  普通、アルファがオメガの性フェロモンに強く反応してヒートを起こして首筋を噛むことにより、番となる。だが運命の番とは発情期やヒートに無関係に、アルファとオメガが強く惹かれ合うことを指していた。 「へえ……ロマンチックだねえ……」 「僕の運命の番が、清史郎だったらいいなって思うんだ」 「絶対そうだよ! そうに決まってる」 「……そうかなあ……」  智秋は、春海の憂いを帯びた微笑みには気が付かなかった。
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