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智秋がぶうっと膨れると、春海の視線が智秋の背後に注がれて、輝くような笑顔に変わった。
「清史郎、こっちだよ」
春海が軽く手を上げる。
入り口に背を向けていた智秋は、とうとう兄の恋人がきたのだと、ごくんと息を飲んで振り返った。
颯爽と近づいてくる男性を見て、智秋は目を瞠る。
艶やかな少しクセのある黒髪。端正で男らしい顔立ち。長身を誇る立派な体躯。白の襟付きシャツにジーンズという、シンプルな服装が彼を大人に見せていて、とても十八歳には見えなかった。
智秋はすぐ隣に立った兄の恋人に、ぼうっと見惚れた。
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