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「でもおかしいな。北園の件、全然報道されてねえぞ?」
「そう……」
新聞もテレビも見ていない智秋は、何も分からない。
「北園の親父が、金の力で報道はもみ消したのかな。ああ。でも逮捕ぐらいじゃ、怒りが収まらねえ。社会的制裁も受ければいいのに」
「そんな亜泉が怒らなくても……」
「怒るに決まってるだろう! ダチが二度も同じ奴に傷つけられて、黙っていらえるほど、薄情じゃねえよ!」
「ご、ごめん……」
あまりの剣幕に思わず、智秋は謝ってしまう。
「……あ、大声出して、ごめん。刺された上に、俺に怒鳴られたら、たまんないよな」
「ううん。本気で心配してくれるの分かるから、うれしいよ。ありがとな」
亜泉は長居せず、すぐに帰った。
智秋の体調を気遣ってのことだ。
立て続けに三人の見舞客の相手をして、智秋は思ったより疲労していた。
夕飯は、午後六時。
食事に半分くらい手を付けて、横になると、すぐに眠気が襲ってくる。寝ても寝ても寝足りないのだ。
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