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「君が、智秋くんか?」
耳障りの良い、落ち着いた甘い声。
イケメンは、声までイケメンだ。
「は、はいっ!」
智秋は慌てて立ち上がる。みっともなく椅子が大きな音を立てた。
起立して初めて清史郎との身長差に、智秋は驚いてしまう。
「い、いつも、兄ちゃん、いえ、兄がお世話になってます! 弟の智秋です!」
智秋は腰を直角に折り、いきおいよく頭を下げた。
この時、兄の恋人が、わずかにだが怪訝な表情で智秋を見つめたことに、二人の兄弟は気づいていない。
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