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「ずっと見舞いにも来ないで、本当にすまなかった」
「ほんとだよ……どんだけ、会いたかったと思ってるの……寂しかったよ……」
傷は痛み止めのおかげで痛くないが、包帯で固定されていて動かしにくい。
智秋はその右手をそっと差し出す。
清史郎の視線が、右肩から上腕部にかけての包帯に注がれる。
彼は苦しそうにぐっと眉根を顰めた。
「……俺のせいだ。俺が、君を、傷つけた……」
清史郎は懺悔のように、おそるおそる包帯に触れようとした。
「清史郎さん、そこじゃなくて、手、つなぎたい……」
智秋は指先をかすかに揺らして、催促する。
清史郎は少し躊躇するが、智秋の右手に自らの手を静かに重ね、指先をそっと絡めた。
「痛くないか……?」
「うん。平気」
手のひらから伝わる彼の温もりに、智秋は心が安らぐ。
ふと、出会った時を思い出す。
「清史郎さん。俺ね、兄ちゃんの恋人として、あなたを紹介された時から、あなたを、好きだったんだ」
「智秋……?」
清史郎は、智秋の突然の告白に、目を瞠る。
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