11 運命の溺愛(※)(最終話)

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 春海が意外と毒舌家なことを、智秋は最近知った。 「気づいてると思うけど、清史郎、ああ見えて、繊細なんだ。傷害事件以来、やっぱり智秋が心配でたまらないみたいでさ。言い方悪いけど、手元に置いて安心したいみたいなんだ」  やはりそうだった。  智秋が側にいないと、清史郎は不安なのだ。  母親が退院日当日、顔を出した。その時、同棲の件を伝える。  智秋の知らぬ間に、清史郎と智秋の交際は、母親公認だ。  たとえそうでなくとも、セレブのアルファとの同棲を、守銭奴の母親が反対するはずない。  だから事後報告のつもりだった。 「ああ、南条さんに聞いてるから」  清史郎は、智秋の回答を待たずに、先に母親に了解を取り付けていた。  智秋が断るなんて、露ほども思っていなかったのだろう。  母親の「だから?」みたいな反応に、智秋は拍子抜けだ。
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