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「特に何もないよ」
「なにかあるはずだ! 遠慮するなと、いつも言ってるだろう」
「そんなこと言われても……」
「最新のゲーム機は?」
「スマホで十分だしなあ」
「ブランド物の服やバッグは?」
「お出かけしないのにもったいないよ。それに俺、ファッションとかよく分からないし」
むむっと清史郎が黙り込む。
智秋の歯ごたえのない反応が、お気に召さないらしい。
ようやく同棲までこぎつけた智秋を、どろどろに甘やかしたい清史郎の気持ちが、ひしひしと伝わってくる。
だが智秋が無欲すぎて、尽くしがいがないのだろう。
清史郎本人は気づいていないが、かなり威圧的な表情だ。はっきり言って、怖い。
知らない人が見たら、清史郎が智秋を睨んでいるように見えるだろう。
だが智秋は(清史郎さん、拗ねちゃって可愛いなあ)と呑気なことを考えている。
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