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好きと気づく前の智秋は、清史郎を、かっこよくて、寡黙な、頼りがいのある大人だと決めつけていた。
だから、一方的に甘えたり拗ねたりして、彼を困らせてばかりいたのだ。
だが素の清史郎は、純粋で、不器用で、感情豊かな人間味溢れる、素敵な人。
感情を露わにする彼を見ているだけで、ますます彼への愛おしさが増していくのが分かる。
清史郎の願いは「智秋の願いを叶えたい」だ。
それなら、彼の願いを叶えたいのは、智秋も同じだ。
何かお願いごと、ないかなあと、智秋は頭を捻る。
「あ、そうだ。一つあるかも」
「なんだ? 言ってみなさい」
「……でも、言いにくい。……怒らない?」
「俺が君を怒るはずがない」
(ふふっ、そんな怖い顔してるのに。ほんっと可愛いんだから)
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