11 運命の溺愛(※)(最終話)

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 好きと気づく前の智秋は、清史郎を、かっこよくて、寡黙な、頼りがいのある大人だと決めつけていた。  だから、一方的に甘えたり拗ねたりして、彼を困らせてばかりいたのだ。  だが素の清史郎は、純粋で、不器用で、感情豊かな人間味溢れる、素敵な人。  感情を露わにする彼を見ているだけで、ますます彼への愛おしさが増していくのが分かる。   清史郎の願いは「智秋の願いを叶えたい」だ。  それなら、彼の願いを叶えたいのは、智秋も同じだ。  何かお願いごと、ないかなあと、智秋は頭を捻る。 「あ、そうだ。一つあるかも」 「なんだ? 言ってみなさい」 「……でも、言いにくい。……怒らない?」 「俺が君を怒るはずがない」 (ふふっ、そんな怖い顔してるのに。ほんっと可愛いんだから)
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