11 運命の溺愛(※)(最終話)

8/33
2228人が本棚に入れています
本棚に追加
/287ページ
「じゃあ言うけど、働きたい」 「……え?」 「出来れば、『プリンス』で……だめ?」  清史郎からの返事がない。  その代わり眉間の皺が深くなり、目を眇めて、脅されている気分だ。 「あー、もうそんなしかめっ面しないで。いい男が台無しだよ」  智秋は清史郎の眉の間を、人差し指でリラックスさせようとぐりぐり撫でる。  眉毛が動いて、時折変な顔になる清史郎に、ぷぷっと笑いが込み上がる。  しかし清史郎は逆らいもせず、じっと黙っている。 (あー、悩んでるなあ)  清史郎の心の葛藤が手に取るように分かる。
/287ページ

最初のコメントを投稿しよう!