11 運命の溺愛(※)(最終話)

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 智秋の願いを叶えてあげたい。  だがプリンスで働かせるのは嫌だ。  なぜならあそこはボーイズバー。客はほぼアルファ。  恋人未満の関係の時は、ぐっと耐え忍んだだろうが、晴れて恋人同士になった今、智秋を溺愛する清史郎が、あの職場を許すはずがないのだ。  智秋はまだ店を辞めていない。  本当は清史郎との生活スタイルを合わせるため、辞めるつもりだった。  だが先日、店長のスバルから、こんな連絡を貰ったのだ。 『昼間の時間帯、男の子が接客するカフェにしてみようかなって、店内リニューアル中なのよ。だってほら、夜だけじゃもったいないじゃない。稼働率あげてかなきゃね。ねえ、チアキ、あんた、日中のシフトに入らない? 傷が治ってからでいいからさ』  接客業は自分に向いていた。  夜でなければ、続けたかったのだから、渡りに船だ。  智秋は清史郎にそんな事情を説明した。
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