02 兄の恋人

8/21
前へ
/287ページ
次へ
「お願い、一口だけ飲んで?」  兄に可愛く強請られると、智秋は弱い。 「分かったよ……わ、あったかーい。お腹、あったまるう」 「少しずつ飲むんだよ?」  二人のやり取りを無言で眺めていた清史郎が、くすくす笑っている。 「ほらあ、南条さんにも笑われちゃったよ、もう!」 「清史郎、なんで笑うんだよう」 「俺は姉貴にすら、こんな風に可愛がられた記憶がないからな。微笑ましいなと感心していた」 「南条さん、お姉さんがいるんですか?」 「小うるさいのが一人な。それより、智秋くん。俺を名前で呼んでかまわないよ」 「そ、そんな、とんでもないです!」
/287ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2244人が本棚に入れています
本棚に追加