2244人が本棚に入れています
本棚に追加
「お願い、一口だけ飲んで?」
兄に可愛く強請られると、智秋は弱い。
「分かったよ……わ、あったかーい。お腹、あったまるう」
「少しずつ飲むんだよ?」
二人のやり取りを無言で眺めていた清史郎が、くすくす笑っている。
「ほらあ、南条さんにも笑われちゃったよ、もう!」
「清史郎、なんで笑うんだよう」
「俺は姉貴にすら、こんな風に可愛がられた記憶がないからな。微笑ましいなと感心していた」
「南条さん、お姉さんがいるんですか?」
「小うるさいのが一人な。それより、智秋くん。俺を名前で呼んでかまわないよ」
「そ、そんな、とんでもないです!」
最初のコメントを投稿しよう!