02 兄の恋人

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「驚かしてすまない。君が急に泣き出したから、どうしたのかと思って」  清史郎が智秋の挙動不審を訝しんでいる。  頬に触れたのは、清史郎の指先だった。  指摘されて指先で眦に触れて、自分が泣いてることに気がついた。 「ち、智秋、一体どうしたの?」  智秋は、なんで自分が涙を零しているのかが、全く分からない。だがとりあえず、目の前でおろおろする春海になんらかの弁解をしなくては。 「あ、あのね、兄ちゃんと清史郎さんが仲良くてよかったなあって思ったら、つい」 「そうなの?」 「……うん、ごめん、泣き虫で」 「ん、いいよ」
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