02 兄の恋人

12/21
前へ
/287ページ
次へ
「あの、清史郎さん」 「なんだ?」  清史郎はコーヒーを飲む姿すら決まっていて、何度見ても智秋はドキドキ緊張してしまう。 「あの、ありがとうございましたっ!」 「急にどうした?」 「兄ちゃんを悪い奴から助けてくれたって話を聞いた時、清史郎さん、正義の味方だって思って感動しました」 「正義の味方か……」と清史郎がくすりと笑った。   「俺達が付き合うようになったきっかけは、春海にとってはこのうえない不幸だった。だが俺は入学当初から春海が気になっていたから、あの時、春海に突然告白されて、想定外にうれしかったんだ。綺麗で聡明な春海には、すでに恋人がいると思っていたからな」 「清史郎……」
/287ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2243人が本棚に入れています
本棚に追加