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春海が清史郎をうっとりと見つめ、清史郎も優しいまなざしで春海を見た。
二人はとても愛し合っている。なのに。
「なんで、清史郎さんは兄ちゃんを番にしないんですか?」
「智秋……」
春海がすっと視線をそらして、首筋を手で触った。
そこには、強化プラスチック製の透明チョーカーが巻かれている。従来の黒の首輪はオメガ差別を助長するため、アクセサリー感覚で身につけられるプロテクターが主流となり、春海は十三歳の時から着用している。
清史郎が噛み付けば、春海は彼の番だ。
オメガの屈辱の証である首輪から解放される。
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