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「ねえ、なんで、兄ちゃんはこんなに清史郎さんを好きなのに、どうして、番にしてくれないの?」
智秋の子供らしい素朴な質問に、清史郎は嫌な顔ひとつしなかった。春海は口を挟まず、二人の会話を聞いている。
「もちろん、春海を愛しているよ。だが俺達はまだ高校生だ。決して別れるつもりでつきあってはいないが、今後、俺たちがどうなるか誰にも分からない」
「兄ちゃんと、別れちゃうの?」
智秋の涙腺が、また緩む。
清史郎は小さく微笑んで、首を僅かに横に振って「そうじゃない」と言った。
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