02 兄の恋人

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「欲望の赴くまま、彼の首筋を噛んで無責任に番にしたら、もし俺たちが進む道を違えた時に、春海を途方に暮れさせてしまう。それは俺の本意じゃないということだ」  まだ恋すら知らない智秋には、清史郎の言い分に込められた真摯な気持ちが理解できない。 「どうして? 高校生でもいいじゃないか。兄ちゃん、清史郎さんを大好きなんだもん。お願い、番にしてあげてよ」  首を縦に振らない清史郎に、智秋はだんだん腹が立ってくる。   「ねえってば!」 「智秋、落ち着いて!」  声を荒げ始めた智秋を、春海が優しく制止した。
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