02 兄の恋人

16/21
前へ
/287ページ
次へ
「僕は清史郎の考えに同意している。彼が愛してくれる気持ちに嘘はないって分かってるから。だから、お願い。清史郎を責めないで……ね、智秋」 「兄ちゃん……」  涙目で春海を見つめると、春海が微かに頷いて、微笑んでいる。智秋はぐいっと目元を拭った。 「清史郎さん、よく知りもしないで、酷いこと言ってごめんなさい……」    だが清史郎は無言のままで、ただ智秋をじっと見つめていた。 「清史郎さん……?」 「すまないが、そろそろ失礼する」 「え! もう?」と、春海が一番驚いている。
/287ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2243人が本棚に入れています
本棚に追加