02 兄の恋人

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「この後、ホテルで南條家主催の晩餐会があって、出席しなくてはならないんだ」 「……そっか。忙しいのに時間とらせて、ごめんね」 「俺のほうこそ、短時間しか一緒にいられなくてすまない」 「ううん……」  春海は清史郎の予定を知らなかったらしい。聞き分けはいいが、明らかに落胆している。  智秋はさあっと青ざめた。 (俺のせいだ。俺がいちゃもんつけたから……) 「ごめんなさい! 兄ちゃんを嫌いにならないで! 帰らないで!」  起立し歩き出した清史郎の前に、智秋が両手を広げて立ちはだかり、行く手を塞いだ。 「智秋くん……」  清史郎の表情は怒気は含んでおらず、どちらかというと呆れ顔だ。
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