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「この後、ホテルで南條家主催の晩餐会があって、出席しなくてはならないんだ」
「……そっか。忙しいのに時間とらせて、ごめんね」
「俺のほうこそ、短時間しか一緒にいられなくてすまない」
「ううん……」
春海は清史郎の予定を知らなかったらしい。聞き分けはいいが、明らかに落胆している。
智秋はさあっと青ざめた。
(俺のせいだ。俺がいちゃもんつけたから……)
「ごめんなさい! 兄ちゃんを嫌いにならないで! 帰らないで!」
起立し歩き出した清史郎の前に、智秋が両手を広げて立ちはだかり、行く手を塞いだ。
「智秋くん……」
清史郎の表情は怒気は含んでおらず、どちらかというと呆れ顔だ。
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