02 兄の恋人

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 その後姿をぼんやりと見つめて、自分のやらかした失態に智秋は気づく。   「ごめん……兄ちゃん……俺、どうしよう……清史郎さん、怒らせちゃったよ……」  張り詰めた糸が切れて、智秋は腰が抜けたように、椅子に腰を下ろした。 「清史郎は怒ってないよ。それよりも、智秋が僕を心配してくれたことが、すごくうれしい。ありがとね」 「兄ちゃん……」 「でも智秋、すごいね。清史郎に喧嘩ふっかけるなんて。僕だって清史郎と言い争いとかしたことないのにさ」 「……後で嫌がらせとか、されない?」 「あはは、なんだよ、それ。子どもじゃないんだから」  せっかく心配しているのに、逆にばかうけして、智秋は面白くない。
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