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その後姿をぼんやりと見つめて、自分のやらかした失態に智秋は気づく。
「ごめん……兄ちゃん……俺、どうしよう……清史郎さん、怒らせちゃったよ……」
張り詰めた糸が切れて、智秋は腰が抜けたように、椅子に腰を下ろした。
「清史郎は怒ってないよ。それよりも、智秋が僕を心配してくれたことが、すごくうれしい。ありがとね」
「兄ちゃん……」
「でも智秋、すごいね。清史郎に喧嘩ふっかけるなんて。僕だって清史郎と言い争いとかしたことないのにさ」
「……後で嫌がらせとか、されない?」
「あはは、なんだよ、それ。子どもじゃないんだから」
せっかく心配しているのに、逆にばかうけして、智秋は面白くない。
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