2222人が本棚に入れています
本棚に追加
/287ページ
02 兄の恋人
第2話 兄の恋人
「ねえ、兄ちゃんは、南条さんといつもこんなところでデートしてるの?」
生まれて初めてのオシャレなカフェに、智秋は居心地が悪くて、落ち着かない。緊張のあまり、ジュースに口をつけてばかりいるから、兄の恋人が来る前だというのに、既に氷だけになりそうな勢いだ。
「ううん。僕たち、学校でしか会えないんだよね。それにしても、そこまで緊張しなくてもいいんじゃない? 智秋」
向かいに座る春海が、くすくす笑う。
「だってさあ」
同性代の友人しかいない智秋にとって、兄以外の年上の男性は未知の存在だ。人見知りの性格も相まって、清史郎との顔合わせにかなり気後れしている。
最初のコメントを投稿しよう!