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念のため押し入れを覗いてみる。
押し入れの上段にはもう使っていない布団がたたんであって、そろそろ処分しようと思っていたところだ。
その布団は梨香の弟の竜輝のもので、粗大ごみとして処分するつもりだった。
布団の上になにかがうずくまっている。
泥にまみれて泣いていた。
虐待して死んでしまったはずの竜輝がいて、膝を抱えて泥にまみれて泣いている。半ば白骨化していて、ウジ虫が布団の上でのたくっている。
「ねえ、ぼくをほりおこしてよ。カセンジキからほりおこしてよ。ほりおこしてよ。ひとりはさみしいよ。ねえ、ママ、さみしいよ、ねえ、ママ、なんでぼくをころしたの、ねえ、ママ、ぼくはわるいこだったかな、ねえ、ママ、いっしょにきてよ」
私は半ば白骨化した竜輝に掴みかかり、床にたたきつけて、もう一度竜輝を殺す。
激しく泣き出した梨香を蹴り上げて、梨香はタンスに頭をぶつけ白目をむく。
私はママだ。
私はママだ。
優しい、優しいママだ。
私は梨香のために氷枕をつくりにいく。
鼻歌をくちずさみながら。
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