2人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねえ、何かいるよ。何かいるの」
六歳になったばかりの梨香が押し入れを指さして、何かいるとしきりにおびえている。
「何にもいないって」
「ううん、いるの。ママをさがしてるよ」
「あたしを? なんで?」
「ママをさがしてるの」
「何言ってんのよ。頭おかしいんじゃない。黙ってよ」
「ママをさがしてる。ほら、あそこに」
梨香は押し入れを指さして震え出す。
「黙りなさいよ!」
逆上した私は梨香の頬をぶつ。梨香は泣くのを必死に堪えている。泣いたりしたらもっとぶってやる。梨香は健気に涙を飲み込む。いい気味だ。私を怖がらせたりするからだ。
最初のコメントを投稿しよう!