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「そうか・・・大人の私にも見る事は出来るのか・・・。」
ガックシと首をうな垂れると、これ以上何も言葉が出て来ない。
そもそも何故ここへ来たのか。ヒューストは原点を思い返した。
幼い子供が、父親と離婚をし家を出て行こうとした母親を、別れの時に包丁で刺し殺したのだ。何度も何度も刺し、血塗れで母親の遺体の前で佇むトビーを父親が見付けた。
父親はすぐに救急車を呼んだが、既に母親は死んでしまっていた。トビーはそのまま、この精神病院へと連れて行かれたのだ。すぐさま精神病院へと輸送されたのは、危険性有りと判断されたからだ。
この事件担当になり、少年トビーが何故母親を殺したのか、と言う動機を聞く為にやって来た。それは法廷での資料を集める為。
しかし、既にトビーと話しをしていた医者に聞いても、学校関係者に聞いても、トビーは普通の子供で、むしろ優しい少年だと誰もが証言をする。だからこそ、危険性有りなのかもしれない。普段とは真逆の行動を取る子供。それは精神異常と診断されやすい。
警察側としては、それは余り面白くない話だ。医療少年院となれば、刑期が変わって来てしまう。通常の刑罰を受けさせ、普通の少年院に入れさせたいだろう。
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