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青い石
「さようならって言ったんだ。母さんは、さようならって言った。」
真っ白い椅子に腰かけ、目の前に同じ様に真っ白い椅子に腰掛ける、見知らぬ大人に言う少年。
周りの壁も、何処を見渡しても白く、椅子と椅子の間に置かれた机まで白い。椅子と机以外には何も置かれていない、真っ白な部屋。
「それで、君はどうしたんだい?」
見知らぬ大人が尋ねると、少年は躊躇う事無く即答する。
「殺した。」
顔色一つ変えずに言う少年の姿に、深い溜息が零れた。
「そうだね。君は包丁で、母親を刺殺したね。何故・・・そんな行動をしたのかな?」
少年は見知らぬ大人の姿を、じっと見つめた。そして質問の回答はせず、逆に質問をする。
「おじさん、誰?白衣着てないから、お医者さんじゃないよね?何してる人?」
少年の質問に、スーツの内ポケットから黒い手帳を出すと、それを少年の目の前に翳した。
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