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親戚と旅館に泊まった時のことだ。
大人達は日が落ちるかという時間から宴会を始めて、べろんべろんに酔っぱらって寝てしまっていた。
残された子供達で怪談をしようという事になったが、当時もう中学三年生で、そんな子供っぽいことはしたくないと思っていた。
だけど山奥の温泉宿だ。特に遊ぶところがある訳でもないので、諦めて布団に入った。
案外疲れていたのか、それとも温泉で温まったのが良かったのか、直ぐに寝てしまった。
誰かがしゃべっている声で目を覚ます。
「それでね、鉈には血がべっとりとこびりついていて、猟師の怨霊がね」
薄暗い中、ほとんど皆寝てしまった様だった。
その中、自分の弟といとこの女の子だけが布団の上に二人座って、まだ話をしていたようだ。
「殺された恨みでね」
その話は、私と同い年の咲希の鉄板ネタだった。
多分さっき聞いて真似しているのだろう。
「それでね、鉈には血がべっとりとこびりついていて、猟師の怨霊がね」
また同じことを話している。上手く喋れないのだろうか。
「それでね、鉈には血がべっとりとこびりついていて、猟師の怨霊がね」
可笑しい。弟はこんな声はしていない。
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