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 声はどんどん低くなって、もはや大人の声みたいだ。そんな筈はない。  不安で、唾を飲み込むこともできない。 「それでね、鉈には血がべっとりとこびりついていて、猟師の怨霊がね」  まただ。それはもはや、人間の声には聞こえなかった。  なんで、なんで普通に聞いているのだろう。弟がおかしくなっていることに気が付いていないのだろうか。  でも、恐ろしくて声をかけることもできない。  すると、ほぼ二人同時に、頭を大きく揺らし始めた。  可笑しい。すぐにそう気が付く。  けれど、二人の頭はどんどん早く早く頭がぶんぶんと音を立てるんじゃないかって位上下に揺られ始めた。  もはやそれは人間の出せる速さでは無かった。  叫び出す事もできず、慌てて布団をかぶる。  それでも声はうっすらと聞こえてしまう。  止めて欲しい。もう、やめて。  いまだに二人は頭を揺らし続けているのだろうか、それともあの二人は本当に自分の知っている二人だっただろうか。まるで何かに取り憑かれているようだった。  兎に角、静かにしていよう。大人達が戻ってくるかもしれないし、そうしたらなんとななる。  ガタガタと震えながら兎に角時間が経つのを待っていた。  いつの間にか寝てしまったようで、翌朝目を覚ますと、弟もいとこも普通で何度聞いてもそんな事なかったとしか言ってはくれなかった。
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