廃墟より

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 肝試しの名所にやって来た。  何度も居た場所だった為もうさほど怖くもなく、ただ運転手役をするだけに徹していた。 「本当に此処で待っていてくれるんですよね。逃げないで下さいよ」 「逃げる訳がないでしょ。年に三度は来る有名すぎる場所なんだから、時々来るのは肝試しの子どもだけですよ」  動画サイト用に来たり、友人と個人的に来たり、新しい彼女とのデートコースにしたり。  ウンザリする程来た廃墟の前で待っていた。ちなみに、今回は合コンの流れでやってきたりもしている。  三十分間の探索。戻って来ると車が無い(勿論少し離れた場世に動かしている)と言う流れである。  演出係に今回は徹する事になっていた俺は動かした場所で車で待っている。  廃墟から悲鳴が聞こえた”私霊感あるから”女子が居た為その子だろうと、何となく気にしていなかった。  帰って来なかった。三十分待ったが帰って来なかった為、流石に迎えに行く事にした。 「大丈夫かお前ら!何が有った、警察呼んだ方、、、が、、、、、、え?」  しゃがみ込んだ自分を見下ろす者が居た。真っ赤に塗られた顔で見下げて来た女の子の顔に覚えがない。  一瞬の出来事であった。目が合った女の子の眼球が真っ黒に反転したかと思うと、眩暈と共に倒れてしまった。  次の日、目を覚ますと全員が寝ていた。ただ霊感ある系女子だけが震えながら車の中に逃げ込んでいた。 「車を出さないで。お願い」  霊感ある系女子がそう言って来た事が印象的であったが、皆、家に帰らない訳にもいかない。  その帰り道僕らは事故に有った。幸い怪我だけであったが、ただの偶然だと思いたい苦い思い出である。
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