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今年で85歳になる義父は、軽い認知症を患っているにも関わらず、車に乗るのを止めようとはしない。
頑固な義父の性格上、認知症の検査を受けるのも一苦労だった。
医者から「車の運転はしない方が良い」と言われながらも、義父は今もなお運転を続けている。
車の運転はやめて欲しい。免許を返納してほしい。
……何度、言葉にしたことだろう。
夫や義母、義兄夫妻と、入れ替わり立ち替わり説得をしたけれど、義父が頷くことはなかった。
認知症が進んでゆくにつれ、夫や義兄には手を出さないものの、義母や私、挙句の果てに、娘にまで手を上げようとする。
亭主関白の時代。妻だから、と義母は常に義父の言いなりだった。
そんな義母の姿を目の当たりにした私は、結婚当時から義父が怖く、逆らうことが出来ない。
「この前も危なかったのに……。苦労をかけてごめんね」
義母が涙ながら、私達に謝罪する。
義母によると、もう少しで接触事故を起こしそうだった、ということが何度も遭ったようだ。
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