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「美春さん、出掛けるから戸締りよろしく頼むよ」
私の用意した昼飯を食べた後、義父が車の鍵を片手に家を出る。
義母が入院してからというもの、義父は今までにも増して自由奔放に振る舞い、車で出かけては夜まで帰ってこない。
もし、義父が人身事故を起こしたなら……
未来ある若者の命を奪うことになったら……
「どうして車を取り上げなかったんだ」
「認知症の親を野放しにした、家族の責任だ!」
噂話はあっという間に広まって、私達は住む家を失ってしまうだろう。
受験生の長女と、多感な時期である中学生の長男。
このままでは、家族が崩壊してしまう。
義父に運転を辞めさせて、免許を返納する日は来るのだろうか。
私達家族がどれほど悩んでいるのか、義父には伝わらない。
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