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夫婦間でも義父の運転を巡り、言い争いになることが多々あった。
「お義父さんが事故を起こしたら、私達は一生後ろ指を指されながら暮らすことになるよ。優太や愛乃のためにも……お願い、あなたからも頼んでよ」
「もう何度も言ったじゃないか。その度に暴れて、手が付けられなくなって……お前だって知ってるだろ」
「それはそうだけど……いっそのこと、義父さんの車を処分するとか……」
「そんなこと出来るわけないだろ。父さんのことは、全てお前に任せると言ってるじゃないか!」
「……そう」
あなたの親なんだから、と動きそうになる口を必死に抑えた。
義父と折り合いが悪いことや、仕事で疲れている夫の言い分もわかるけれど、どうして私の気持ちは無視されてしまうのだろう。
ふと「離婚」の二文字が頭に過ぎる。
もちろん、優太や愛乃がいるため経済的にも現実的ではない。
夫婦のやり取りなど何も知らない義父は、今日も車に乗って家を出て行った。
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