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急に敬語をやめて普通に話すとなると、なぜか一瞬迷ってしまう。
しかも彼には色々お世話になっているという事実もあって、あまり年下だという意識がなかった。それにやっぱり緊張しているのが一番大きい。
「ほら、やっぱり菜々さんって僕のツボなんですよ。」
「それって…昔から?」
思い切って聞いてみた。
「…え?」
隣を歩く彼の足が止まった。驚いた顔で私を見ている。
「それって…
そう切り出した涼くんだったけど、悟くんの大きな声が彼のその先の言葉を遮った。
「着いたよ。ここ、ここ」
そう言いながら前を歩いていた2人がこっちを振り返り、私たちを待っていた。
「はぁ……着いたみたいなので、とりあえず今は行きましょうか。」
涼くんにそう促され、2人の後に続き地下への階段を降りていく。
背中に彼の視線を痛いほど感じながら……
階段を降りて続く短い通路の先に木製のオシャレなドアが見えた。
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