6176人が本棚に入れています
本棚に追加
「菜々さん……ずっと…会いたかった…」
あれから彼女のアパートまで送りに来た俺は今、コーヒーを淹れるためキッチンに立つ彼女を後ろから抱きしめていた。
「…本当は帰国してすぐにここまで来たんです。だけど、あの日は結局あなたに会う勇気が出なかった。」
「え…それっていつ?」
「先週末の夜です。ちょうど、菜々さんが男の人と一緒に帰って来て。それから…抱き合ってるのを見てしまいました。」
「違うから!彼は、彼とは…そんなんじゃなくて……」
彼女は焦ったように力強く否定した。だけど、そこで言葉を詰まらせる。
だから俺から彼女の答えを導くように質問した。
彼女の体の向きを変え、正面から彼女と向き合って。
「あの時、あの彼に告白でもされてた?」
「……………」
「やっぱり」
最初のコメントを投稿しよう!