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俺の態度や言葉だけに、一喜一憂して表情を変える彼女が可愛かった。
俺を通して今はもういない誰かに向けられた涙じゃなく、俺だけに向けられた彼女の涙はとても綺麗で美しい宝石のようだった。
顔を背けようとする彼女の頬に流れ落ちる涙を拭いながら、彼女の顔を上に向けた。
その大きな瞳をそらさずまっすぐに見つめる。
「菜々さんだけが、僕をこんな風にさせるんです。あなたの事が好きなんです。出会った時からずっと…僕はあなたしか見ていません」
大きく見開かれたその瞳…。でも、すぐに視線はそらされた。
「う…そだ。またからかってるの」
「嘘じゃありません。僕がいつからあなたを見てるか知っていますか?大学で出会ってからずっとです。確かに再会するまでは、もう会う事もないだろうって諦めてました。だけど、もし…もう一度あなたに出会えたらその時は、何もしないままで終わってしまった過去と同じ過ちは繰り返したくなかった。」
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