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彼女の前に差し掛かった時、わずかにお酒の匂いがした。
まさか、もう飲んでるのか?
思わず歩を緩め向けたその視線は、縋るような藤堂の視線とぶつかってしまった。
「酔ってるの?」
「…酔ってないよ」
「何の用事?」
もう一度聞いたけど、藤堂は答えにくいのかやっぱり言おうとしない。
今、一度は仏の顔を見せた。
駅の改札を抜け、足早にいつものホームに向かう途中
「涼!」
と大きな声で名前を呼ばれた。
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