プロローグ

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自分から動く事も出来なくて相手の出方をじっと待っている私には、数秒という時間が拷問のようにとても長く感じた… ................ .......スー..スー そして、わずかに聞こえてきた規則正しい寝息。 その瞬間、金縛りが解けたようにバッグだけを握りしめて私は部屋を飛び出していた。 今しかない!それしかもう頭になかった... 鍵を開けたままにする事に多少の罪悪感は感じたけど、今の私には鍵を探す余裕も時間もなかった。 “ごめんなさい” と心の中でつぶやき、玄関扉を音を立てないようにそっと閉めた。
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