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私は受付を済ませいざ中へ。
中の雰囲気が今までのお化け屋敷とは比べ物にならないほど凄く、自分自身がその主人公になったような錯覚を覚えていた。
井戸からお皿を数えながら出てくるお化け。チェーンソーをもって仮面を被った人。テレビから這いつくばるように出てくる、髪の長い死装束を身にまとった女性。どれを取ってもとにかくリアルだった。
最後は、背中を下にした四つん這い状態のお化けに着き回され、走り逃げるように出口に向かっていったのだった。
噂通りの怖さだった。心臓が高鳴りドキドキが止まらない。脈拍が最高潮を迎えていた。出口では一人のお化けがお見送りしてくれた。
「当お化け屋敷はリアルを追求しました。またのご利用お待ちしています。」
そのお化けは死装束から青白い素肌をちらちらと見せていた。本当に最後まで良くできていると感心したほどだ。
出口から出た私は胸の高鳴りを感じつつ、先程の光景を思い浮かべていた。実は見送りをしてくれたお化けに見覚えがあったのだ。頭の中で記憶を巡らせる。すると私の中で一つの答えが導きだされたのだ。「あれは先日連絡を取った友人だ」と。
思い返せば足がなく足元が浮いていた気がする。その時は演出だとばかり思っていた。
その日のうちに友人は近くの川原で遺体で発見されたのだった。
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