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「ドーン!」
ああ、もう朝か。目覚ましの音を爆発音にしてから、目覚めスッキリだったけど、今日はなんだか、体がだるい。わっ血まみれ。でも、鉄臭くはないし、鮮明な赤だし、これは仮装の血のりか。と言うか、ここは、どこ、どこのトイレ? ああ、コンビニのトイレで、寝てしまったんだ。うーん、フローラルの香り、花園でお目覚めなんて、ロマンチックですこと。
「ドドドーン!」
また爆発音! これ、花火かな? でも、今は朝の五時ですよ。ドッキリか何かだとしても、BPO的にどうにか言われそうな時間帯に爆破だなんて。いったい何なんだろう? とっ、とりあえず花園から出なきゃ。
「んぐぐぐぐぐっぐっぐぐぐっ」
お通じが四日以上ないくらいに力んでみても、扉が開かない。ちゃんとロックは外したし、ドアノブも動くのにっ。
「おりゃっ!」
痴漢を撃退したという実績のあるタックルでも開かないドア。おかしいな、刑事ドラマなんかでは、すぐに開くのに、現実は厳しいな。
「うーん、うーん」
背中をタンクに、足の裏をドアに押し付け踏ん張ってます。
「うーん、うううううーん! でりゃっ!」
「バンッ!」
おお、開いた開いた。さあ、外に。と、その前に、一応、手は洗っておきましょうね。子供たちの模範にならなきゃダメだから。はいっ、はいっ。あれっ、はいっ、はいっ。えーっ! 水出ないじゃないの! 自動だよね、蛇口に栓はついてないし。センサーの故障かな。とりえず紙で拭いてポイっと。あっ、なにこれ、もうっ。流れないっ。水道が止まっているの? このコンビニ経営不振? あんなイケメン店員がいるのに、店は潰れかけなの? まあ、いいや。
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