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「どすっ」
尻餅なんて突いたの何年振り! 痛くないのは、お尻のクッションのおかげなのか。そんな事はどうでもいい。いや、なんか腰が抜けちゃったかな。立ち上がれない。
「ゴ、ガァァ」
「ひっ」
こ、この体勢は、床ドン! 本当にこんなシチュエーションてあるんだ。目の前に、イケメンが迫ってくるなんて、思わず口が尖っちゃう。青白いイケメン、ちょっと恥ずかしいから、目を閉じて。優しく、優しくお願いします。
「バリーン」「ボンッ!」
何? また花火? あれっ? 目の前真っ赤? 唇ってこんなに冷たかったけ? なんだか、鉄の臭いがする。 ううん、イケメン店員は? 体はあるけど、頭が無い。興奮し過ぎて、爆発したの? 私の魅力が、罪の無いイケメンを。
「一体殲滅、一人確保」
だ、誰?
「怪我は無いか?」
「あ、ええ、ちょっと腰が」
「やっぱり人間か、お楽しみ中、悪かったな」
「あのぉ」
「細かい説明は後だ、非常事態、とだけ言っておく」
迷彩服に銃を構えた彼は、そう言うと、しゃがんで背中を差し出した。
「行くぞ」
「はい」
彼の広い背中は暖かかった。顔はゴーグルとマスクで分からないけど、イケメンボイス。筋肉質で頼もしい。イケメン店員さんみたいに、がっつく事も無くて紳士的。何か、胸の鼓動が早くなって行く。コンビニで、良い買い物しちゃった。
ー完ー
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