2人が本棚に入れています
本棚に追加
体育館内がざわつく。
隣に座ってた優子と渚もこそこそと話す。
「怖い。もう私、夜は絶対外歩かない!」
「大丈夫。優子になんかあったら、あたしが守るから。」
二人は、強く腕を組む。
「えーー、最後の話になりますが、水森高校は、平成29年9月末に廃校になることが正式に決定いたしました。」
………………………え?
さっきまでざわついていた体育館内が静まり返る。
「水森地域の皆さんは、水森高校に大変愛着を持っておりますが故に、少子化という時代の流れとはいえ、廃校は大変残念であると考えております。皆さんには、突然のご報告なってしまいましたが、残りの水森高校での時間を、存分に楽しんでいただけたら、と思います。以上です。」
校長先生がお辞儀をし、ステージから降りる間、頭の整理が追いつかない生徒は、しばらく固まったままだった。
「校長先生、ありがとうございました。続きましては………」
メガネも話の内容までは、知らされていなかったようで、突然の発表に声が震えているのがわかる。
体育館の隅では、谷が俯いたまま動かなかった。
俺は、突然の出来事に、ただただ周りを見渡すことしかできなかった。
最初のコメントを投稿しよう!