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「でだ。おまえらの母ちゃんって、この辺で働いているんだろ? なんて店?」
「えっ? 知らない」
あたしは咄嗟に首を横に振った。
本当は知っていたけど、何だか怒った目つきをしているこのお兄さんはママに何か言いに行くかもしれない。
もしかしたら、この代金を要らないと言いながら、ママに払わせようと思っているのかも……。
そんなことになったら、ママにまた怒られる。叩かれるかもしれないし、場合によっては蹴られるかもしれない。何日もお金を貰えないかもしれない。
あたしはそんな恐怖に駆られて震えが止まらなくなった。
「由菜? どうした?」
焦った顔をした金髪が外にいる仲間を手招きして、数人がコンビニの中に入って来た。
「こ、これ要らない。だから、ママには何も言わないで!」
私はそう言うと、堪えきれずに泣き出した。
金髪が舌打ちしたのが聞こえて、やっぱりママにお金を払わせようとしていたのかもしれない、そう思うと余計に恐くなって「お願いだから、ママには言わないで」「ママのお店なんて知らない」と言い続けた。
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