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「ごめんね、由菜……」
ママが謝って、あたしを抱きしめた。
そして思い出した。ママは昔は優しかったこと。いつもいつも笑って抱きしめてくれたこと。「由菜、大好きよ」って頬にキスをくれたこと。
パパと喧嘩をするようになってから、ママは変わってしまったんだ。
「あんたさ、母子家庭の助成金とか出るって知っている?」
「えっ? なに?」
ママがきょとんとした顔で、金髪の顔を見た。
「役所に行って相談するといいよ。夜に働かなくてもいい方法、色々とあると思う」
「本当にこいつらのために働いているんだったら、俺らみたいなのに心配されているようじゃ、こいつらの将来なんて台無しになるぜ」
金髪と赤髪はそう言うと、あたしたちの頭に手を置いた。
「じゃな、ゆな・りな。もう夜中にコンビニなんて来んなよな」
煙草の残り香を漂わせて、2人は背中を向けて去って行った。
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