18人が本棚に入れています
本棚に追加
昼間のコンビニにはそのお兄さんたちはいなかった。
どうやら、夜9時過ぎた時間に必ず誰かしらあのコンビニでバイトしているようだった。
あたし達はその時間を狙って行くようになった。
「また来たのかよ、ゆな・りな」
みんなはあたし達をそんなコンビ名のような呼び方をするようになった。
「おまえらん家の親は何やってんだ? チビ女子2人でこんな時間にお使いに出すなんて」
「パパはいないの。ママはね、夜働いていていないの。ママはお店に行く前にお金をくれるから、どうしてもこの時間にお買い物に来ることになっちゃうの」
そうじゃない日もあったけど、2人っきりの夜の時間に家にいるよりも、少しの時間でもここに来てお兄さんたちと話したかったのが本当だった。
「けどな、あんまり夜は歩くなよ。帰りは送ってやれるけど、来るときは2人だけだろう。危ねえだろうが」
みんなに「ヤス」と呼ばれている、小柄な優しそうなお兄さんが本当に心配そうな表情をしたから、どうしてそんな顔をするのか不思議だった。
恐らく、あたし達は誰かに心配してもらったことが無かった。出て行ったパパはいつも無関心だったし、ママは煩くしたり汚したりすることには敏感だったけど、あたし達が家で何をしていても家に居なくても気にしていなかった。
最初のコメントを投稿しよう!