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「大丈夫だよ。車には気を付けるし」  あたしが元気に笑うと「あほか」とだけ言って髪を撫でられた。  何度か通っているうちに、金髪がリーダー的な存在で、赤髪は二番手のようだと分かった。この2人はコンビニの店員のようだった。  ヤスやグリーンメッシュ頭や他の人たちはその下の後輩らしく、金髪か赤髪がバイトしている時には常にコンビニの前に5~6人は煙草を吸っている。  ある時、ママが家を出る時にお金を渡さなかった。 「ママ、今日はお金は? お腹空いたの」  あたしがそう言ってねだると、「うるさいわね、今日は無し!」と言って頬を叩かれた。  ママが出て行くと、空腹の里菜が泣き出した。 「大丈夫だよ、里菜。お金ね、少しはあるんだ。こういう日のために少し残しているから」  あたしは泣いている里菜を宥めて、いつものコンビニへ向かった。  あたし達がマンションから出るのを見つけると、コンビニ前で赤髪が手を振った。「そこで待っとけ!」と大声で言うと、いつもの機嫌がよさそうな笑顔でダッシュで横断歩道を渡って来た。 「お兄ちゃん、足速いんだね!」    里菜が興奮気味に赤髪の腕にしがみ付いた。  あんなに恐がっていたのに、今ではすっかり懐いて色んな人に抱っこやおんぶをねだる始末だった。 「おう、足が速くなきゃ、負けらんねえ勝負の時に困るからな」 「なあに? かけっこ?」  里菜が無邪気に聞くと、「そうだな、かけっこだ」とゲラゲラと笑った。
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