奇像《アイドル》

ユウキ

ユウキとの初対面は、俺もユウキも小学生の頃になる。その時の俺は……今と変わらずサッカー少年だった時の事だった。

小学生のクラスでも、皆さんなら記憶にあるように幾つかのグループに分かれる。と言っても異論を唱える人は少ないと思われる。

俺はスポーツが得意な体育会系のグループで、クラスでも学級長を主体とする目立つグループに属していた。

一方のユウキは奥手な奴で、クラスの中ではゲームやインドアな遊びが得意な、目立たないグループに属していたと言える。

決して交わる事の無い点と点が、線で繋がる瞬間は往々にして「事件」を発端(ほったん)とするのだから、人間何が起こるか分からないモノだ。

俺とユウキを結び付けた事件……それは、イジメが全ての引き金になっていた。

ユウキがイジメられていた。のではなく、他の人だった。友人を庇(かば)うようにして、ユウキがクラスでも乱暴者で通っていた彼が、よりにもよってキレた瞬間があったのだ。