奇像《アイドル》

ユウキ

キレた乱暴者はキレさせた相手ではなくユウキにも、とばっちりを与えるように暴力を振るう。

ユウキ曰(いわ)く「元はと言えば、僕にも責任があって、彼だけ殴られるのはおかしいと思ったから止めに入った」そうだ。勇気と言えばそうで有るかもしれないが、無謀ともとれないでもない。

さすがに一年や二年ならともかく、三年生にもなれば大抵は「キレさせたら手に追えない友達」などの要注意人物情報がなんとなく頭に入っており、自分が悪くても迂闊(うかつ)には手が出せない。

実際周りのクラスメイトも、先生を呼ぶ。遠巻きながらに止めるように促す。残りは見て見ぬフリ……と事実を黙認する人がほとんどだった。俺もその大勢の一人であったので、多くは語らない。。。

些細な切っ掛けは、その後の事から始まる。

仕方ない事とは言え、俺は体育会系グループと大人しいグループの仲立ちをする立場にあった。と言うのも、大人しいグループの中に仲良くしていた親友の一人が居たからだ。